それは夏の午後

人の波を 止めたシグナル
流れ出した 車道の向こう
なつかしい あなたが ポツンと 立っていた
それは 夏の午後

どうしていたの? 元気だったの?
心でつぶやいた
遠くになった 一年前の
あざやかになる

失くすものが あまり多くて
ついていくのは 無理だと告げた
それでも それでも 誰より 愛してた
去年の夏の日

灼けた陽射し 車がはじく
あなたがふと 私に気づく
おどろく 瞳を 一瞬 尖らせて
すぐ顔そむけた

時のはやさに 負けないでいる
憎しみがうれしい
遠くなっても 強いあなたは
変わらずにいる

愛だけでは やってゆけない
いつか二人 悔やむと思った
それでも それでも 誰より 愛された
去年の夏の日

そのまなざしに 今もきらめく
憎しみがうれしい
遠くなっても ずるい私を
忘れずに いる

人の波が 流れはじめて
そう誰より 他人の顔で
なつかしい あなたが 静かに 近づいて
今 すれちがった
なつかしい 痛みが 二人の 肩先で
今 風になった



Credits
Writer(s): Megumi Ogura, Kenichi Kurosawa
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