生きる

体と心とが離れてしまった
居直れ我が生命よ
現と夢の往来行き交う
途中で居堪れない
過去どもここに消えろ

木枯の喧噪に二人紛れ込んでいたらば
如何して互いを見出せようか
とても叶わない
見分けがつかない
若かりし日
統べてを握った利き手も
草臥れて居る

あー 充たされないで識らないで
追い掛ける影の美しさよ
皆まで言うな
憧れ続けていた筈の
孤独と自由が首を絞める
なんてこの世は
果てしないのだろう

言葉と感覚が
結ばれぬまま居直れ我が生命よ
現と夢の反芻
繰り返す体で知る由もない
未来ごとここに失せろ

新緑の平穏にただ浮き足立っていたらば
あらたな己に出会せようか
最早何ぶん
諸々を聞き飽きて居る

あー 囚われないで云わないで
為遂げる光のしなやかさよ
至らなかった
忌み嫌い
続けていた筈の

無欲と空虚が
胸を占める
なんてこの身は
頼りないのだろう
あまりに何も無い



Credits
Writer(s): Ichiyo Izawa
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