花鳥風月

おぼつかない足取りだって
幾夜ほど昔だろうと
愛しく覚えてしまった
運命は斯(か)くも在るか

いつまでもいつまでもと
袖を引く夕間暮れに
風そよぐ髪と まだ慣れぬ白粉(おしろい)

傷つくほどに愛撫(あいぶ)しよう
忘れないように
この指先でふたりを
書き残すほどに深く触りたい

今宵 夜が明けずとも
君の傍にいたいんだ
この世では許されぬ逢瀬(おうせ)と契(ちぎ)り

愛を哀と見間違わぬように
明かし尽くす月影(つきかげ)よ
玉響(たまゆら)な命を今 照らしておくれよ

時が連れ込むは夜と
静けさと微睡む温度
風吹けば落ちてしまう
宛ら花びらのように

すれ違う人に塗れ
空目した彼方の夢
掻き分ける髪に
懐かしき面影(おもかげ)

世界中が君の運命を
狂わそうとした
泡沫(うたかた)のようにはじけた
舌先結ぶ恋と心音(こころね)

濡れる羽衣(はごろも)の肌と
熟しきらぬその花の
酸味まで 愛するよ仰せのままに

その身
いつか浮雲(うきぐも)となりて
暮れる東雲(しののめ)の空へ
揺蕩(たゆた)うなら 翼を得て啄(ついば)みにいきたい

今宵夜が明けずとも
君の傍にいたいんだ
この世では許されぬ逢瀬(おうせ)と契(ちぎ)り

愛を哀と見間違わぬように
明かし尽くす月影よ
玉響な命を今 照らしておくれよ



Credits
Writer(s): Mafumafu
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