Tenohira

掌に刻まれた歪な曲線
何らかの意味を持って
生まれてきた証
僕らなら 求め合う寂しい動物
肩を寄せるようにして
愛を歌っている

抱いたはずが突き飛ばして
包むはずが切り刻んで
撫でるつもりが引っ掻いて
また愛 求める
解り合えたふりしたって
僕らは違った個体で
だけどひとつになりたくて
暗闇で もがいて もがいている

ステッカーにして
貼られた本物の印
だけど そう主張している方が
ニセモノに見える

僕らなら こんな風な袋小路に
今も迷い込んだまま
抜け出せずにいる
夢見てるから儚くて

探すから見つからなくて
欲しがるから手に入んなくて
途方に暮れる
どこで間違ったかなんて
考えてる暇もなくて
でも答えがなきゃ不安で

君は君で 僕は僕
そんな当たり前のこと
何でこんなにも簡単に 僕ら
見失ってしまえるんだろう?
ひとつにならなくていいよ
認め合うことができればさ
もちろん投げやりじゃなくて
認め合うことができるから
ひとつにならなくていいよ
価値観も 理念も 宗教もさ
ひとつにならなくていいよ
認め合うことができるから
それで素晴らしい

キスしながら唾を吐いて
舐めるつもりが噛みついて
着せたつもりが引き裂いて
また愛 求める
ひとつにならなくていいよ
認め合えばそれでいいよ
それだけが僕らの前の
暗闇を 優しく 散らして
光を 降らして 与えてくれる



Credits
Writer(s): 桜井 和寿
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