ハナウタ

夜空を引き裂いた春も
ぼくには触れてはこなくて
まぼろしのように咲いたバラ
痛みだけが指にふれる

愛おしさばかり打ち寄せ
だれにも触れたくないのに
ひとりきり生きる瞳に
やむことのない波音

光の中に恋をしてる
孤独はきっと そういうもの
緑 破れた日影に滲む 夜の焼け跡
走るメトロの振動で ぼくの輪郭ぼやけて
愛が溶けだすように揺れる ぼくだけの朝

さみしさとともに訪れる
やさしさがぼくに染みつく
いつかは全てが消えると
ぼくのために繰り返す

光の中に恋をしてる
孤独はきっと そういうもの
緑 静まる浅瀬の海に 足を浸して
走るメトロの振動で 愛の輪郭ぼやけて
街へ ながれるように揺れる ぼくだけの春

影 桃色の空と
朝焼けの海 波 まばたき
灯りつづける 生まれた日の朝日
息をするたび ふかく染まって

きみに触れるたび 染みるさみしさは
ぼくのやさしさも 連れて消えてゆく
いつか 孤独のまま愛を許すこと
こんなぼくらにも できるのだろうか

沖へと流れる静寂
誰ひとりいない砂浜
呼ばれることなどない名前
やむことのない波音

ひかりのなかに恋をしてる
孤独はきっと そういうもの
緑 ふちどる夜明けの風に すべてを預けて
走るメトロの振動で ぼくの孤独がぼやけて
空へ 重なるように響く ぼくだけの街

きみに触れるたび 満ちたむなしさは
愛に変わらずに 溶けて消えてゆく
いつか 孤独のまま愛を許すこと
きみのさみしさを ぼくは愛せるか

ひかりのなかに恋をしてる
孤独はきっと そういうもの
愛が とけだすように揺れる ぼくだけの朝



Credits
Writer(s): Youhei Kawakami, Tahi Saihate
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