hanarebanare

今でも笑ってしまいそうな
今でも泣いてしまいそうな
思い出は消えて行く
向かい風に乗って

君とベンチで腰掛けて
僕が教えた C コード
届かない指に触れて
目と目が合ったあの日

東京行きの電車は少しだけ
出発を遅らせている
今日旅立つ君に僕は
口を閉ざしたまま

はなればなれになる君は
僕に優しく微笑んだ
怖いのは泣きたいのは
僕じゃなく君のはずなのに
いつも二人で読み返した
アルバムを握りしめたまま
ドア越しにつぶやく
「いつでも待ってるから」

いつだって君の心の内を
見透かすことはできなかった
だけど最後にうつむいて
地面に落ちた君の初めての涙を見た

遠くなっていく電車とは逆に
思い出が今更押し寄せて
もうどうにでもなれって
虚勢を捨てた途端
やけに小さな自分に気がついた
あぁ大切ってやつは
近くできゅっとできる間は
気づかないものだと

はなればなれになる君は
僕に優しく微笑んだ
怖いのは泣きたいのは
僕じゃなく君のはずなのに
もしもまた会えるその時は
過ぎた電車の後ろで
つぶやいた言葉を
君に話せるように

変わらない君とまた
笑って話せるように



Credits
Writer(s): Atsushi Satake
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