invisible

涙が枯れる頃に
アスファルトも乾いて
街灯は瞬いている
点滅繰り返し
まるで俺の気分を
映し出している

身体は透き通って
誰にも気付かれず
どうやら俺は今
無意味で無価値でいるようだ
このまま此処に居た
証が無くなるというなら
その前にただひとつふたつみっつよっつ

焦がれる程に恋してみたい
溢れる程に愛してみたい
透明のままであれば叶うことはないのでしょう そうか

目の前で交わされた
愛の誓いを告ぐ花嫁の
傷ついた数を上回る
包み込む甘いキスを
佇んで眺めていた

夕暮れ過ぎた頃
少し着膨れた子どもが
自転車で俺をすり抜け
家で待つ母に会いに行く
このまま此処に居た
証が無くなるというなら
そのまえにただひとつふたつみっつよっつ

焦がれる程に恋してみたい
溢れる程に愛してみたい
透明のままであれば叶うことはないのでしょう そうか

日が出る前に
月が欠く前に
夢になる前に
お前を見つけに

焦がれる程に恋してみたい
溢れる程に愛してみたい
透明のままであれば叶うことはないのでしょう
誰からも相手にされずに
このまま消えてしまう前に
どこからか呼ばれた声が
微かに色づけてくれるのだろう



Credits
Writer(s): 小池 貞利
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