蕾に雷

(Five, six)

木だけのものじゃないから 避雷針は
肺をくらやみに馴染ませ
思い出すの 舞台

プレートリバーブの空が胸骨を満たす 僕は
減る、減ろう

髪から なまえが憑いたときから
爪ゆく 雷のほうに見惚れて
僕は恋をしている 筈で

血の中には何もなくていい 筈で
電より早いものがある 筈で
僕が恣に呪って確かめる 筈で
(雷蕾雷蕾雷蕾雷蕾)

誰かいるのは分かってた筈 なら
向うを照らしてほしい ね
こどものころに観たホラー映画の
電気が未だ
(Five, six)

(木だけのものじゃないから わたしたちは)
(龍の稜線から はみ出し 踊り出した額)
(病みばなの歯たちが齧る草木を)
(ひらく 僕が)

光と 細い肌のびりがずれてきて
雷を枯らすときまで
僕は恋をしている 筈で

髪は少しも動かせない 筈で
爪達は少しも騒ぎ出さない 筈で
僕は薄い暗闇しか分からない 筈で

(Five, six)



Credits
Writer(s): Hakushi Hasegawa
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