kabin

花瓶を打ち付ける少女は、
他に気の引き方を知らなんだ。
例えば可愛らしく笑うとか、
はたまたさめざめしく泣くだとか。

写真の裏側に書いてた
日付の針を少し進めたら、
僕が君の横に転がり込むよ。
だって後が詰まってるんだ。

赤色のライト、格子に手をかけるサイモン。
彼女に教えてやってよ、あの50の方法を!

全部いやんなった!
忘れようとしたけれどもうダメだよ。
浮かんだ悲嘆だって、
あぁーあ、痛みじゃないでしょう?
眩んだ瞬間を思い出す度に悶えちまうな。
離れて戻ろうが、
ただ、うっかりしてただけさ。

詩人を気取ってる僕はさ、
今日も君を思って書き散らす。
誰かを救うつもりがあるなら、
手紙じゃ間に合うわけがないのに。

駄文の裏側仕舞ってた
景色も、いずれ廃れ消えるから。
忘れてゆくことそのものに愛を、
じゃなきゃ泣きたくなっちまうさ。

湿気ったフレーク、カビの生えたパンと牛乳。
床に散らす花瓶まるで花のように咲いてる。
暫しブレイク、腹が空くと少し寂しい。
こんくらいの憂いだけで
日々がいつも済めば良いのに。

割れた硝子の上を君は裸足で歩く。
歩き続ける。
割れたガラスの上を、君は一人で歩く必要はもうないよ。
共に朽ちよう。

全部いやんなった?
忘れようとしたけれどもうダメだよ。
浮かんだ悲嘆だって、
あぁーあ、痛みじゃないでしょう?
眩んだ瞬間を悔やむだけの時間、勿体がないんだ。
離れて戻ろうが、
ただ、一緒にいれただけさ。
たまたま、会えただけさ。
僕らはまた、さよなら。

僕は全部いやんなった。

全部いやんなった!
それじゃ、全部いやんなった?
君は全部いやんなった?



Credits
Writer(s): Kitaro Taniguchi
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