雑感

だんだんと消える霧の中を走って行く
この調子なら明日には静岡くらいには着くはず
私ほど運転が上手い人もなかなかいないです
車よりバイクの方がぜったい速いときがあります

どこにだってあるものでもこことそこじゃちがうので
ここにないからどこかにあると思って来ただけです
毎日のせいで涙を流す暇もないだけです
片目で歩いているのを偉いって言われるのも妙です

霧の中をありえないような速さで行く
考え抜いた末にしたことで恨まれて愛される
積み木を崩さないように見ていないとこで押さえている
ように見せかけていつだって離せるのは私です

揺れながらあたたかい朝を待っているだけです
あなたなんかにはきっと一生分かるはずない夢です
染みついたものばかり抱き寄せて眠らせている
ずっと勇気になって私の中に住んでるだけです

どこのあたりにキスをしたらよろこんでくれる
それはそういう野原に出た時のためとっておく
トイレの鏡に映る私は私を焚きつける
諦めない顔と目つきは格好良くてしびれる

車はぜったい羽根や自由ではないです
エンジンかければ誰でも動かせる危ない
手招きをされてもまなざしをくれたって行かないです
私には私にしか分からないことがあるんです

頼りにしていた人が死んで途方に暮れている
この羊の前でどんな私でも羊は羊です
この頃は暇なのでこれまでの分まで黙ってます
ここは夢の中だから何をしてみたっていいんです

いつもの扉を開けて私はどこへでも行く
続いてはさらなるあたたかい夢のなかほどを行く
毎日のせいで涙を見落としているはずだから
さあ今ならいくらでもやってみて全部受け止める

霧が晴れたら紺色の空に点々と星粒
給料から年金が天引かれて心底腹が立つ
腹が立つ自分でも驚くくらい
うーん腹が立つ
行けるようになったから行きたいとこに来てみただけです
来てみただけです
来てみただけです



Credits
Writer(s): Satoko Shibata
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