ZOO

誰も運んでこない生餌
演じた 無垢で愛らしい
想像の生き物
仕方無い 外は寒い
食うか食われる それだけの世界
知ってたから
残酷の真逆に身をやつした

観られるのになれた訳じゃない
相も変わりもせず鉄格子の墓
「無花果を見に行こう」と
誘う声 色めく足
聖者の行進だ

この世界が美しく見えるのは
あなたが生きてるお陰だ
なんて言えたなら
この世界が醜く見えるのは
あなたが生きてた昨日が
綺麗過ぎたから
この先にある筈の思い出が
生を延ばした

誰も追って来ない域へ
二人は奔放に
木苺の畑を通り
真っ赤に染まった衣服で
「物騒だね」笑い合う
食う食われるは
その時ばかりは気にせずに
そんな日は星座の様に残ったが

日に日にと襲い降る雪
肌を劈くような白い刃から
理想を守れるほど
器用じゃないと解ってたのに
聖者の行進は

この世界の醜い足音で
全てが掻き消された
踏みにじられても
この世界で美しく在る為に
答えが無い問いだって
答えを出さなくちゃ
あなたがくれた強さの分だけ
弱く生きれた

もう温度も音もない
握り返さない手に乞う
生まれては消えゆく
節操の無い星だから
いつかまたきっと
巡らせて 最初から
あの木の実は何処にも無かったと
今さら気付けたんだよ

この世界が美しく見えるのは
あなたが生きてたお陰だ
なんて言えるから
この世界が美しく見えるのは
あなたが生きてく明日が
綺麗すぎたんだ

この世界を美しく見れるから
あなたに生きてて欲しいんだ
他の何かが
拒もうとも永遠に望むから
あなたと生きてく明日と
温度、音、色を

心の空いた檻に
宿してずっと観合うよ
あなたとだけなれたよ



Credits
Writer(s): Niru Kajitsu
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