ベンチとコーヒー

青いベンチに座って あったかいコーヒー飲みました
これから昇る太陽が 東の空を染めました
それはもう 嘘みたいに キレイで 驚いたなぁ

駅へ急ぐスーツの人 Yシャツの襟が立っていて
それに気付いて直す時 辺りをキョロキョロ伺って
まるで 自分を見る様で もどかしくて まいるなぁ

格好つけて 強がって 理屈ばかりの俺です
無駄に焦って 取り繕って それすら認めません

あの人が 会社に間に合いますように

シャドーボクシングする人 ジグザグに並木を往復
一心不乱のその目は 汗など気にしない模様
かたや自分はこのザマで 情けなくて まいるなぁ

格好つけて 強がって 言い訳くさい俺です
無駄に悟った フリばっかりで 知る努力もしません

あの人が 試合で負けませんように

俺は唄っているんだろう?
誰に唄っていたんだろう?
俺は解っているんだろう?
何を解っていたんだろう?

家路を辿るランドセル 並んだ赤黒 二人分
「君が好きだよ」と容易く 目の前で言ってのけた
それは自分に 無いモノで 羨ましくて まいるなぁ

格好つけて 強がって 大人気取りの俺です
スナオな気持ち 言えないままで 笑ってみたりします

黒の想いが 赤に届きますように

どこで迷っているんだろう?
何を迷っていたんだろう?
誰に唄えばいいんだろう?
俺に唄えばいいんだろう?

青いベンチのまわりに 鳩が集まってきました
あいにくエサは持ってないよ 君らの役には立たないよ

いい加減 家に帰るかな 冷たいコーヒーを飲んだら
コーヒー好きな オマエのさ 馴染んだ顔が浮かんだよ
こんな一日の話を 笑ってくれるんだろうなぁ
こんな一日の思いは お見通しなんだろうなぁ

「格好つけて 強がって」 繰り返してる俺です
覗いてみれば 全然ダメで ホントに まいるなぁ
いつもの顔で コーヒーを飲んでいる オマエです
いつもの顔で 全然ダメな 俺のとなりに居ます

こんな唄を 明日 オマエに 渡せますように
冷たいコーヒーが あたためてくれた



Credits
Writer(s): 藤原基央
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