Eki

君の手荷物は 小さな包みがふたつ
少し猫背に 列車のタラップを降りて来る
驚いた顔で 僕をみつめてる君は
夕べ一晩 泣き続けていた そんな目をしてる
故郷訛りのアナウンスが今
ホームを包み込んで
都会でのことは誰も知らないよ
話す事もいらない
驛舎に降り立てばそれですべてを
忘れられたらいいね

重すぎるはずの 君の手荷物をとれば
身じろぎをせず ただ涙をこぼすだけ
ざわめきの中で ふたりだけ息を止めてる
口を開けば 苦しみが全て 嘘に戻るようで
季節の間(はざま)ではぐれた小鳥が
時計をかすめて飛ぶ
泣きはらした目が帰ってきたことが
君をもう許してる
驛舎を出る迄に懐かしい言葉を
思い出せたらいいね
改札口を抜けたならもう
故郷は春だから



Credits
Writer(s): Masashi Sada
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