彷徨える

彷徨(さまよ)い乍(なが)らも喰らう
迷いも惑いも要(い)らぬ事
其れは 蓋(けだ)し
人の摂理(せつり)の所業(しょぎょう) 喰らえ

楠(くす)から転げた木魅(こだま)
其(そ)の場で煮やして犬の味
其(そ)れは 寧(むし)ろ
人の原始の鼓動 喰らえ
丸(まる)で 後ろ向きな 屁理屈(へりくつ)よりも

堅肉(かたじし)なれど 萎(しお)る 甘草(あまき)なれど
餓(かつ)えば 餬口(ここう)の夢
悴(かじか)む時も 日照(ひで)り 茹(う)だる時も
誰もが 粮(かて)を巡る

飢(かつ)える我らは喰らう
戦(いくさ)もせずとも只(ただ)喰らう
其(そ)れは 寧(むし)ろ
人の生きたる証(あかし) 喰らえ
丸(まる)で 的外(まとはず)れな 似非愛護(えせあいご)など

堅肉(かたじし)なれど 萎(しお)る 甘草(あまき)なれど
餓(かつ)えば 餬口(ここう)の夢
悴(かじか)む時も 日照(ひで)り 茹(う)だる時も
誰もが 粮(かて)を巡る

今日も彷徨(さまよ)える 明日も彷徨(さまよ)える
何時も彷徨(さまよ)える 永久に彷徨(さまよ)える
誰も彷徨(さまよ)える 彼も彷徨(さまよ)える
彷徨(さまよ)い乍(なが)らも
喰らえ!

堅肉(かたじし)なれど 萎(しお)る 甘草(あまき)なれど
餓(かつ)えば 餬口(ここう)の夢
悴(かじか)む時も 日照(ひで)り 茹(う)だる時も
迷わず 普(あまね)く 其の口で 粮(かて)を喰らえ



Credits
Writer(s): 瞬火
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