月の傷

平気な顔で人を傷つけている
思いこみでも
そう だって 人の本当の
心は わからない

どうして ぼくは うそをついてしまうだろう?
いともかんたんに
もう どれもぼくの本当の
姿か わからない

耳をふさいでも きこえる
楽にはならない 胸の音
答えに悩む 宿題を
ぼくは いつのまにさずかったのだろう

今 誰に 伝えよう
しるしのない気持ちを
笑いながらしか言えない
人にならないように

月さえも 見はなす
遠距離の孤独を
自分にたとえることでしか
いやせないなんて

人の言葉の奥が見えてしまうから
多分 本当に
ぼくは 人をきらいには
なれないと思う

まちがうこともあるだろう
心にもないことを言って
答えに悩む宿題を
いつも書きかえながらいるんだろう

今 誰に教えよう
居場所のない気持ちを
つめたいことしか 言えない
ぼくではないことを

月の影 かくれて
わからない孤独が
せつなに人を求めて
ふりむいているのに

自分にたとえることでしか
いやせないなんて



Credits
Writer(s): Anri Kumaki
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