003

月の光も届かぬ部屋で
君は心を隠したまま
僕の首に腕をまわす
夜と同じ色のドレスは
さっき簡単に脱ぎ捨てたのに

抱きしめて爪を立てて
薄い膜から
君を連れ去ろうと
伸ばしきった腕から

飛び出すのは
頼りなく濁った情熱で
こんなものじゃ
君の胸は打ち抜けない

狙いをもう一度定め直して
囚われの君に照準を合わせて
最後は引き金を

大丈夫
夜が明けてしまうまでに
奥まで潜って
かたをつけるから

抱きしめて爪を立てて
薄い膜から
君を連れ去ろうと 開けた
ドアの奥から
漏れ出すのは
君の中の澄み切った感情で
話が違うぜ
これじゃ君を打ち抜けない

強く触れるほど君がこぼすのは
涙によく似た色の蜜
僕の目の前にいる
今の君は偽物だろ

抱きしめて爪を立てて
薄い膜から
君を連れ去ろうと
伸ばしきった腕から

飛び出すのは
情けなく澄み切った情熱で
こんなものじゃ
君の胸は打ち抜けない



Credits
Writer(s): Iyori Shimizu
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