失いたくないから

水道の蛇口顔を近づけ
冷たい水喉に流し込む
斜めに見えるあの青空が
どんな時も僕の味方だった

蝉の鳴き声にぐるりと囲まれた
校庭の土に染み込んだ夏の微熱に
君の白いシャツとグレイのスカートが
蜃気楼のように切なく揺れてた
心の中に
静かに風が吹き始め
ふと本音が騒ぎ出す
誰かを好きになるのは
一人になりたくないから
コンバースの紐直す振りして
君のことだけずっと見ていたよ
乾いた喉は癒せるけれど
胸の砂漠はいつでも何か沈んで行く
雲が少しだけ影を縁取って
あっと言う間にザザーっと雨が降り始め
夕立ちになる
君は頭の上に学生鞄 翳して走るよ
ついてないって素敵な笑顔で...
誰にもきっと
失いたくないものがあって
そう なかなか踏み出せない
誰かを好きになったら
誰もが臆病になるだろう
ひっくり返したバケツの後で
体育館の上虹が架かってる
一緒に眺めた僕らの空は
恋の仕方 教えてはくれない

Ah 否定したって
瞼を閉じれば
君が思い浮かぶ
水道の蛇口顔を近づけ
冷たい水喉に流し込む
斜めに見えるあの青空が
どんな時も僕の味方だった



Credits
Writer(s): 秋元 康, 蛯原ランス
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