溺れる魚

僕はいつか 窒息するだろう
愛も夢も何もかも光も見えないから
呼吸するのも忘れて 泳ぎ疲れて
溺れる魚

光を忘くした 盲目なもぐら
飛べない鳥は 何を歌う?
とっぷり沈んだ太陽は
明日も僕を焼くのでしょう

あの日、僕が口にした言葉に
何一つ 嘘は無かったと思う
一秒でも長く 一秒でも長く
一緒にいたいと思っていたんだ

愛しさ故に気でも狂いそうで
理由や理屈じゃ計れやしない
失う事への恐れはあったけれど
考えぬように おどけて見せていた

もう 全てに疲れたと
君は 一言 呟いて
僕達の過去は 嘘色に変わった
散り散りになって
真っ白に還った

いつからだろうか 魚の目は白く濁り
この街の流れにもはじかれて
おどけてみたって 笑えやしないだろう
あの日の少年は 大人になっていた

今になって思うのだけれど
あの日に僕は 何もかも
死んでしまったのでしょう
記憶は僕に圧し掛かり
事実は 僕への 刃に変わった

懐かしむ事は 弱い行為ですか?
でも すがることしか 今は出来ず
死にたくたって 死ねやしない
惨めな僕を笑ってくれるかい?

僕はいつか 窒息するだろう
愛も夢も何もかも光も見えないから
呼吸するのも忘れて 泳ぎ疲れて
溺れる魚



Credits
Writer(s): 逹瑯
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