Hikarabita Bus Hitotsu

小さなバスで暮らしている
少女はいつでも待っている
ひとり

呆けた色に変わっている
緑の木目と蛍光灯
ひとり

愛されては 宙に浮かんだ
夢のあと 探して歌ってる
ピンホールの あやふやな写真ばっか
並んで凍えてる

ねえ あなたとふたりで逃げ出した
あのほの灯りへと行きませんか
煉瓦の短いトンネルを
潜り抜けるのをためらって

何でもないような秘密つくって
二人は共犯者になって
とても深くまで落ちたこと
口を開いてしまったこと

小さなバスで暮らしている
見つからないまま泣いている
ひとり

大事に大事にしていたのに
二人を写した写真がない
どこにも

太陽のような林檎が落ちた
心ばっか 探して歌ってる
ピンホールの あやふやな写真ばっか
並んで凍えてる

ねえ あなたは「どこにもいかない」と
そう言葉贈ってくれたこと
霞に沈んだ朝の街
揺れるバスの背に寄り添って

このままどこかにいけたらなって
海に沈んでしまえたらって
ありもしないと言えないこと
何処にもいけないこと

知っていた 恥ずかしくなるようなこと
心もいつか灰になること
それでいい ありのままで幸せだ
小さなバスは 海へ落ちていく

ねえ あなたとふたりで逃げ出した
あのほの灯りへと行きませんか
錆びた金網にぶら下がり
ボタン千切って笑ったこと
何でもないような秘密つくって
二人は共犯者になって

ねえ あなたは「どこにもいかない」と
そう言葉贈ってくれたこと
霞に沈んだ朝の街
揺れるバスの背に寄り添って

このままどこかにいけたらなって
海に沈んでしまえたらって
ありもしないと言えないこと
今もわたしは揺られている

乾涸びたバスひとつ
乾涸びたバスひとつ
乾涸びたバスひとつ



Credits
Writer(s): Kenshi Yonezu
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