Apoptosis

訪れるべき時が来た
もしその時は悲しまないでダーリン
こんな話をそろそろ
しなくちゃならないほど素敵になったね

恐るるに足る将来に
あんまりひどく怯えないでダーリン
そう言った私の方こそ
怖くてたまらないけど

さよならはいつしか
確実に近づく
落ち葉も空と向き合う蝉も
私達と同じ世界を同じ様に生きたの

今宵も鐘が鳴る方角は
お祭りの後みたいに鎮まり返ってる
なるべく遠くへ行こうと
私達は焦る
似た者同士の街の中
空っぽ同士の胸で今
鼓動を強めて未来へとひた走る
別れの時など
目の端にも映らないように
そう言い聞かすように

いつの間にやらどこかが
絶えず痛み出しうんざりしてしまうね
ロウソクの増えたケーキも
食べ切れる量は減り続けるし

吹き消した後で包まれた
この幸せがいつか終わってしまうなんて
あんまりだって誰彼に
泣き縋りそうになるけど

さよならはいつしか
確実に近づく
校舎も駅も古びれてゆく
私達も同じことだってちゃんと分かっちゃいるよ

今宵も明かりのないリビングで
思い出と不意に出くわしやるせなさを背負い
水を飲み干しシンクに
グラスが横たわる
空っぽ同士の胸の中
眠れぬ同士の部屋で今
水滴の付いた命が今日を終える
解説もないまま
次のページをめくる世界に戸惑いながら

今宵も鐘が鳴る方角は
お祭りの後みたいに鎮まり返ってる
焦りを薄め合うように
私達は祈る
似た者同士の街の中
空っぽ同士の腕で今
躊躇いひとつもなくあなたを抱き寄せる
別れの時まで
ひと時だって愛しそびれないように
そう言い聞かすように

訪れるべき時が来た
もしその時は悲しまないでダーリン
もう朝になるね
やっと少しだけ眠れそうだよ



Credits
Writer(s): Fujihara Satoshi
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