呪われし宝石

「ヘマすんじゃねぇぞ Laurencin!」
「はっ!お前こそな Hiver」

母なる大地が育んだ奇蹟
世界最大と謳われし貴石
30ctの(トラントゥ カラット)
赤色金剛石(ディアマン ルージュ)

所有者を変え渡り歩いた軌跡
特典は予約済みの鬼籍
30ctの(トラントゥ カラット)
『殺戮の女王』(レーヌ ミシェル)

鎖された硝子(ヴェール)
優雅に眠る宝石(ピエール)
過ぎ去りし日の夢の中

厳格なる幻喪(ドゥイユ)
傅かざる矜持(オルグィユ)
死神さえも腕の中

『彼女』こそが女王(レーヌ)
抗う者は皆無
檻の外へは逃がさない

狡猾な少女(フィーユ)
影と踊った老婆(ヴィエーユ)
幾つもの首を彩った

派手な娼婦(クルチザン)
泥に塗れた王妃(はな)
幾つもの首を刈獲った

廻り巡る情景(セーヌ)
色鮮やかな幻夢
喪うまでは逃がさない

【祝い】が【呪い】に変わる
運命の皮肉
『彼女』の誕生にまつわる
知られざる《物語》(ロマン)

男は掘った
薄暗い穴を
墓穴と知らずに

男は掘った
奈落へと至る
洞穴と知らずに

鎖された闇の中で
運命(とわ)に抱かれ
寝食さえも忘れて
掘った

灯された詩の中で
躍るように
浸蝕された歯車
エ ティル ルトゥルヌ フォルマン【斯くて狂ったように廻り】

男を誘う不思議な霧
眼前に現れたのは
かつて見た事の無い
美しき原石
その魔力に引き寄0304(せ)られるかのように
男は震える手を伸ばした

【幸運】(ピアン シャンス)
嗚呼 これまで
苦労をかけた
可愛い妹(ノエル)よ

【幸運】(ピアン シャンス)
嗚呼 これなら
胸を張って
送りだ0304(せ)r

← 欲に目が眩んだ
鉱山(ミヌ)の管理者(コンシェルジュ) ←

← 眼の色を変えた
鷲鼻の宝石商(コメルサン) ←

← 我が眼を疑った
隻眼の細工職人(アルティザン) ←

← 廻るよ廻る
死神(ディユ)の回転盤(ルーレット) →

堅牢に見える倫理の壁にも
時に容易に穴が空く

【不運】(マル シャンス)
嗚呼 帰らぬ
兄を待ってる
嫁げぬ妹

【不運】(マル シャンス)
嗚呼 変わらぬ
愛を待ってる
冬の夜空

「あぁ Hiverお兄様」

頬杖
溜め息
人形師の娘
窓辺に佇む
《双児の人形》

「はぁ いつお戻りになるのかしら?」

鎖された硝子(ヴェール)
優雅に眠る宝石(ピエール)
過ぎ去りし日の夢の中

忍び寄る影(オンブル)
溶け込む緋の闇(テネーブル)
盗賊達は部屋の中

失敗(ヘマ)をすれば処罰(ペーヌ)
命を懸けた任務
狙った獲物(もの)は逃がさない

「やべぇ、ずらかるぞ!」「おい、待ってくれよ!」

白馬に乗らざる王子(プラーンス)
些か乱暴な接吻(ベーゼ)
嗚呼『彼女』が
再び世に解き放たれた

母なる大地が育んだ奇蹟
世界最大と謳われし貴石
30ctの(トラントゥ カラット)
赤色金剛石(ディアマン ルージュ)

所有者を変え渡り歩いた軌跡
特典は予約済みの鬼籍
30ctの(トラントゥ カラット)
『殺戮の女王』(レーヌ ミシェル)

「其処にロマンは在るのかしら?」



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