星屑の革紐

「こん0502(に)ちわ(サリュ) はじめまして!(アンシャンテ)」
差し出した手を 嗚呼 可愛い私のお姫様(エトワール)
小さな指で 懸命0502(に)握り返してくる
あなたの 歩む 道程(みちのり)が
輝くよう0502(に) 『星』と(エトワール)

ある雨の朝
いつものよう0502(に)少女が目を覚ますと
寝具(ベッド)の横0502(に)は優しい父親
そして大きな黒い犬が居た
雨の匂い くすぐったい頬
どこか懐かしい温もり
小さな姉と大きな妹
二人と一匹 家族となった特別な朝

嗚呼 私は星を知らない
遠過ぎる光は届かないから
嗚呼 僅かな視力でさえも
何れ失うと告げられている

エクスキュゼ モワ【ごめんなさい】
マ メール【お母さん】
ス ノン【この名前】
ジュ ネム パ セット 【どうしても】
アブソリュマン ドゥ メ【好き0502(に)なんてなれないよ】
嗚呼 エクスキュゼ モワ【ごめんなさい】
勇気を出して

嗚呼 Pleutと 屋外(そと)へ出たけど
歩く速度が 抑(そもそも)違うから
嗚呼 暗闇0502(に) 沈む世界では
ちょっとした段差でも転んでしまう

エクスキュゼ モワ【ごめんなさい】
モン ペール【父さん】
ス ウィユ【この両眼】
ジュ ネム パ セット【どうしても】
アブソリュマン ドゥ メ【好き0502なんてなれないよ】
嗚呼 エクスキュゼ モワ【ごめんなさい】
細い革紐(アーネ)じゃ

心までは繋げないよ
愛犬(プルー)が 傍0502(に)いたけど
私は孤独(ひとり)だった

別々0502(に)育った者が 解り合うのは難しい
ましてや 人と犬の間であれば 尚更の事である
それからの二人は
何をする0502(に)も 何時も一緒だった
まるで空白の時間を
埋めようとするかのよう0502(に)
姉は 甲斐甲斐しく妹の世話を焼き
妹は 姉を助けよく従った
父の 不自由な腕の代わり0502(に)なろうと
何事も懸命0502(に)
其れは 雨水が大地0502(に) 染み込むよう0502(に) しなやか0502(に)
根雪の下で 春を待つよう0502(に)
小さな花を 咲かせるよう0502(に)

急0502(に)吹いた 突風0502(ラファールに) 手を取られ
革紐(アーネ)を離したけど
もう何も怖くなかった
『見えない絆』(星屑のアーネ)で 繋がっていたから
弱い姉だ

それでも 嗚呼 ありがとうね
妹が 傍0502(に)いたから
私は何処へだって往けた
大好きだよ
妹が 傍0502(に)いたから
私は強くなれた

星空0502(に)抱かれて 夢を見た
あなたが産まれてきた朝の 追憶(ゆめ)を
銀色0502(に)輝く 夢の中
零れた砂が 巻き戻る幻想(ゆめ)を
嗚呼 何の為0502(に) 遣って来たのか
最期0502(に)判って良かった

忘れないよ【で】
君【母】と歩いた
暗闇【苦しみ】0502(に) 煌く【揺らめく】世界を
いつだって
嗚呼 人生(せい)【愛】は星屑の
輝き【瞬き】の中0502(に)在ることを

祈りの星が降り注ぐ夜 →
黒犬(プルー)は 静か0502(に)息を引き取った
悼みの雨が降り注ぐ朝 →
冷たくなった彼女の腹から取り出されたのは
光を抱いた小さな温もり →
黒銀の毛並みを持つ仔犬だった →
そして《物語》(ロマン)の翼は
地平線を軽々と飛び越えるだろう
やがて 懐かしくも美しき
あの《荒野》を駈け廻る為0502(に)

「其処0502(に)ロマンは在るのかしら?」



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