Nare no Hate

髪垂れ白き頸に 怨み滲む雨が降る 嗚呼

水魅戯 濡々と蔓が 肌を撫でる 水魅戯

窪める眼窩 言靈を語らず
唯 皺皺の手を合はせ 合掌 合掌
百万遍の念仏 唱へてみるは崖下 濁流の中

泥に塗れ沈む手 嗚呼 厭離穢土
遥か瞰上げる水面に 母の顏 厭離穢土

四つん這いに這い回るは 己の痴と闇

粗荒しい雨の匂ひ
穩やかに畝りゆく 涅槃の雲に隠れ 寂滅

荒れ狂った激流を悠々と遡り
河底に横たわる身体を包み
「生きていい」と言ってくれた

四辺は煤色 山あひに紅衣が唯一人

混沌 混沌

耳を聳て 流るる闇を聴け
己が形 濡濡と点滴る鬼哭の涙

鳴き淀む碧き沼 浮き上がり地に潛り 厭離穢土
寂寞と潤温帯びて 嶮しく深い谷越え 厭離穢土

在るものが在るが儘に在る
譬へば緑蕪のやふ
鮮やかに染まる髪 己は蠱となり

新しい雨の匂ひ
穩やかに畝りゆく 涅槃の雲に隱れ 寂滅

蒼冥へ
漾い漲る中で 蠱は歩き始め
常樂我浄 涅槃の雲まで



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