Jinbaika

闇夜に咲く花
首無しの花
心此処に在らず
うつらうつら

涼しき眼虚空を転ぶ
物言はぬ傀儡なり
脈脈と続く
夕の老いと朝の生

樹立も無い地も無い
右も左も岩ばかり
乏窮無窮民の希求
月一奇跡の参拝
騙し貢がせ
手に入れし
右と左の観音菩薩
此岸彼岸疑似他界
欺瞞傲慢
虚構ばかり
慾塵無尽
惡しき浄土
阿鼻叫喚
阿鼻叫喚

誰にも知られず
哀れ屍と化して
名も無い儘子を生す

閑寂と躯内に潜み
生に浮遊死に流転
人は稀有の物として
老いを崇める

「吸ふてごらん」父が言ふ
甘く強く愛ほしい

昨日のことすら覺えておらず

此処にゐるは
すでに人にあらず

焔羅 焔羅
憤怒の形相
焔羅 焔羅
振り翳された鍬

「いい香りだらう」
血に塗られた父が言ふ
菩薩は此処に在らず

誰からも遠ざかり
哀れ孤獨となりて
赤黒く染まった
人媒花を吸ふ

慟いても広大無辺
漂ふ朝は常久なり
累累群れをなし
押し寄せる昨日に啼泣
無始曠却よりこのかた
生死に輪廻
「むかうなら生きていける
むかうなら」

咲いては乱れ散る
花のやふに
名も無い儘土を這う



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