月華忍法帖

墜ちた 地表に 流る 我に 適わぬ 血汁
既の 際に 掌を 返す 慮外 喚く

斯くなる 上に 余執は 稲妻
爪紅に 代えるは 此の 泪
其の 闇が 痛いなら
もう 死せる 月の華を 浴ぶりて 往けよ
眥 裂ける 今宵に 孔雀の 花が 舞う

包み討ち なぞは 返し刀
胡坐の 酬いは 死の 舞踊
絶後に じわり 覚るが 良し
神鳴りの 刃 落ちる

斯くなる 上に 余執は 稲妻
爪紅に 代えるは 血の 泪
其の 闇が 痛いなら
もう 死せる 月の 華を 浴ぶりて 往けよ
眥 裂ける 今宵に 孔雀の 花が 舞う

覚悟の 上に 奔るは 雷光
夜四つの 闇路に 月が 映ゆ

斬り抜けて 此の身が 千切れても
然う 死せる 月の華を 泳いで 生けよ
為抉り 惧る 迷いに 還らぬ 顔を 浮かべて
業因が 此の身を 屠るとも
棲まいた 此の 闇を 抱いて 逝けよ
霹靂 終に 鳴らねば 月夜に 神は 無し



Credits
Writer(s): Taisei Kunimoto (pka Matatabi)
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